抜粋1 患者ジャネットのISH”カレン”の登場 ・・・・ISHの基本的性格と役割。

「聞いて」と、後にカレンと呼ぶことになる声は言った。
「私は、あなた(ジャネット)を助けようとしている。ずっとあなたを助けようとして来た。」

「私はあなたの知らないことをすべて知っている。どうすればリディア(ジャネットの悪しき交代人格)を追い払えるか、私は知っている。」

「私はあなたの唯一の希望(中略)。私は強いから。私は強い。」

(なぜジャネットの知らないところでDr.アリソンに電話をかけたかについて)
「もしアリソン先生が知れば(中略)、あなたをもっとよく助けられるから。あなたが勝つのを、リディアに勝つのを助けることができるようになるから。」

抜粋2 ISHカレンとオリジナル人格ジャネットとの関係

「私は強い。だけど、あなたに信頼されなければならない。私たち、あなたと私が、リディアを永久に消してしまうためには、あなたに信頼されなければならない。」

「私はとても強い。その強さをあなた自身が望まなければならない。私を外に出させて、お願い。」
「ええ・・・・・、いいわ・・・・・、けど、アリソン先生と話をしてる時に出てきてくれない?どうやったら、あなたの好きな時にあなたに出てきてもらうことができるの?」
「ジャネット、私はリディアと同じやり方はしないの。自分を押し付けたりはしない。これは、あなたが望まなければならないことなのだから。自分でそうしたいと望まなければならない。(中略)私はいつでも出てくる、ジャネット。あなたがそうさせてくれれば。」

抜粋3 ”カレン”の心理テスト

このテストはどういう性質の人物であるかを知るためのものだ。(中略)
テスト結果は、カレンが完璧な人間(完璧に欠点のない人間)だということを示していた。通常の人間ではこんなことは不可能なので、テストの点数をつけた精神科医は、彼女が欠点を隠そうとしているのだと判断した。

抜粋4 ある(別の患者の)ISHの説明

「私はたくさんの働きをしています。私は良心です。必要があれば罰を与える者ともなります。教師であり、疑問への回答者です。」

「私は将来の彼女の姿ですが、完全に同じものではありません。彼女は感情の表現手段を持っていますが、それは私には必要のないものです。将来の彼女は私の論理的思考能力と、物事を客観視する能力を持つことになります。」

抜粋5 アリソン自身の説明

正常な(つまり人格分裂していない)人間では、これは個人の最善の部分????「良心」あるいは「超自我」と呼ばれる部分だ。

セラピストは多重人格者の中からこの存在を呼び出すことができ、治療のために助けてもらうことができる存在なのだということを理解しておいてもらいたい。

(抜粋4を承けて)
これは正しいのか?わたしにしわからない。(中略)ただ確実なのは、どの患者の<ISH>も、このような発言内容は一致していてそれだけは信頼性があるということだ。

抜粋6 ISHの存在論(1)

これ(ISH)は交代人格というより、独立の存在であるとわたしは考えている。

一人の人間の中に<ISH>が六つ存在しているのに会ったことがある。それぞれがまぎれもなく<ISH>で、はっきりした上下の階級があった。最下級の<ISH>はセラピーのとき最初に現われ、最後にはオリジナル人格に統合された。もっと高位の<ISH>は統合されないように思える。彼らはオリジナル人格の霊的な指導者として存在しつづける。患者が統合されて一人の人格となった後でも、心の中に別の存在として残りつづける。

抜粋7 ISHの存在論(2)

「そうなっても(人格統合後も)私はずっとここにいて、ただ独立といっても、あなた方普通の人と同じように、ごく細い線で全体と区切られているだけです。」

「もし私がいなくなれば、彼女には身体しか残りません。私を一部だけ残して取り除くこともできるでしょう。しかし私を全て取り除いてしまえば、彼女は抜け殻になります。」
(抜粋4の<ISH>の言。)