交代無しの他人格の召還
「リディアと話がしたい。リディア、あなたと話がしたいの。わたしはわたしをコントロールしている。完全にコントロールしている。どういうことかわかる?わたしはあなたと話がしたいけれど、わたしがコントロールしているの。あなたが出てくるのを許可します。あなたが出てこられるのは、私が許可した時だけよ。わたしはわたしをコントロールしている・・・・」
・・・・前述した”ジャネット”が自発的に編み出した方法。この後実際に”リディア”(とISH”カレン”)が登場して、両者覚醒したまま会話を交わすのがテープに録音される。
発達早期(の経験)と交代人格発生についてのアリソンの発見・見解
<多重人格性障害>を理解するにつれて、患者はほとんど、片親あるいは両親から望まれないか、またはそんな風に感じてしまう状況に置かれていた経験があるということがわかった。
・・・・胎内での”人生”経験の意味。
交代人格が作られるには時間がかかり、子供が何らかのショックを受けてから最初の分裂を起こすまでには、長い間暴力的な、あるいは放置方の親からの影響ょ受けつづけているのではないかと考えていた。しかし、現在では、出産の瞬間に交代人格が作られる場合もあることがわかってきた。
・・・・ホントか?(補足:胎内で”人生”が既に始まっているとすれば、そこでの「経験」の帰結としてこういうこともあるのかもしれない。)
あるケースでは、<ISH>の話によれば、患者の心はきわめて精神的能力が強かったゆえに、誕生の瞬間に二つの平行した人格に分裂したという。二つの人格は協力しあって機能し、並外れた形で生を共有してきた。
・・・・マジで?
「ポップアップ」現象
・・・・一応専門用語のよう。患者が極度に混乱、動揺している時に不随意に起きる。
次の日、キャリーが会いに来た。だが、彼女自身はいなくて「他の全員」がいた。彼女は次から次へと交代人格を切り替えた。まるで早送りの映画を見ているようだった。絶えず顔が変わりつづけ、誰と話しているのかわからなかった。
統合に際しての身体症状
「今週は地獄のような苦しみでした。頭の左側が猛烈に痛んで、身体が傾いていました。」「今、脳の中に不快な感覚があります。」
・・・・前出の”ヨランダ”の報告。興味深いがどの程度の一般性があるのか、どういう生理的プロセスと関係しているのか今のところ僕には分からない。
[結語]
アリソンには他にも(多重)人格の構造やこの障害に関するいくつかの独自の理論があるが、独自過ぎて重要性の判断が難しいので今回は取り上げない。
この本を皮切りに色々と勉強して、その後知恵で時折批判めいたことも書いたが、尊敬に値する人物が書いた感動的な本であるのは間違いないように思う。